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- 妊娠・不妊の基礎知識
妊娠をのぞむ健康な男女が避妊をせず性交をしているにもかかわらず、
妊娠しない状態が1年以上続くことを「不妊症」といいます。
妊娠を妨げる原因は様々で、子宮や卵巣の疾患をはじめ、女性の年齢も大きく関係します。
また、精子がいない、数が少ないなど不妊の原因が男性側にある場合も多くあります。
妊娠までには多くのプロセスがあり、その一つひとつが成立してはじめて妊娠に至ります。
妊娠は簡単なことではありません。
だからこそ、妊娠・不妊のことを正しく理解することが2人の未来を話すうえで大切になります。
年齢と妊娠の関係性
健康な女性でも、年齢を重ねるごとに妊娠する力は下がっていきます。
女性の卵巣には、胎児期につくられた一生分の卵子が貯蔵されています。出生時には約200万個あった卵子は、初潮を迎えるころには約30万個まで減ります。そのうち、生涯に排卵できる数はわずか400~500個ほどしかありません。
とくに30代後半からは妊よう性(妊娠する力)が急降下するだけでなく、妊娠しても流産してしまう確率も高くなります。年齢と妊娠の関係を正しく理解し、2人のライフプランを立てることが大切です。
出典:日本産科婦人科学会 ARTデータブック2021より一部改編
※総治療:生殖補助医療(体外受精・顕微授精・融解胚移植)を試み登録されたすべての症例
妊娠の仕組み
卵巣では、毎周期ごとにたくさんの卵胞がめざめ、成長をしています。そのうち、大きく成熟した1個の卵胞から卵子が飛び出します。これが「排卵」です。排卵した卵子は卵管に取り込まれます。
一方、腟内に射精された精子は、子宮頸管から子宮内腔を通り、卵管をめざして進みます。
卵子の受精する能力は排卵してから6時間~12時間ほどしかなく、精子を受け入れられる時間はごくわずか。卵子と精子が卵管でタイミングよく出合うことが、妊娠の鍵をにぎる重要なポイントです。
無事に精子が卵子に入ると「受精」が成立、受精卵となります。受精卵は、細胞分裂をくりかえしながら子宮へと移動します。
排卵後に分泌されるホルモンの働きで、子宮内膜は受精卵を迎え入れる準備をします。そして卵管から移動してきた受精卵が子宮内膜に接着してもぐりこみます。これを「着床」といいます。
受精卵が子宮内膜に着床したら妊娠の成立です。
不妊の原因
不妊の原因は、様々です。
たとえば、卵管の癒着や閉塞、炎症などがあると、排卵された卵子が卵管に入れなかったり、精子が卵子までたどりつけなかったりします。子宮筋腫や子宮内膜ポリープが、着床のさまたげとなることもあります。
また、ホルモン分泌の異常から卵子がうまく育たなかったり、排卵が起きにくくなったりする疾患もあります。
不妊に悩むカップルの半数近くは、男性にも原因があるといわれています。
「もしかして不妊かも?」と気になったら、まずは不妊の原因が隠れていないかを探ることからスタートしましょう。2人で足なみをそろえ、一緒に検査を受けることが大切です。