CASE 03

続く流産に悩んだ
Cさんのケース

現在、1歳6カ月の元気な女の子を育てるCさん。過去に2回続けて流産を経験し、不育症を心配しつつ、3回目の妊娠で出産することができました。そんなCさんに、流産したときの状況や気持ち、ママとなって感じていることなどを語っていただきました。

【妊活ヒストリー】

25歳
同級生の夫と結婚
26歳
自己流でタイミングをとり、妊活を開始
すぐに授かるも流産
27歳
手術後の回復を待ち、自然妊娠するも流産
28歳
3回目の妊娠で第1子誕生

はじめての妊娠は双子。1人は無理かも
と診断されて覚悟し、2人とも流産に。

最初の妊活をスタートしたのは、25歳で結婚して1年ほどしてからです。26歳のとき、妊娠がわかりました。はじめての妊娠なので、産婦人科は評判のよさを重視し、インターネットの口コミを見たり周囲の人に聞いたりするなど、慎重にリサーチしました。家から車で20分ほどの個人病院に決めましたが、そこは妹が2人の子どもを産んでいていろいろな話が聞けたのと、先生がていねいに話を聞いてくださるという評判でした。

初診では胎嚢(赤ちゃんが入っている袋)が2つ確認されて、双子だとわかりました。以前から、双子はかわいいなと思っていたので、驚きよりもうれしさが勝っていました。けれども、喜んだのもつかの間、先生から「双子は育ちにくいし、1人は育っていかないかもしれない」と言われ、一気に不安でいっぱいに。その後は健診のたびに、赤ちゃんが育っているのかドキドキでした。

妊娠を大喜びした夫とは、「なんとか1人でも育ってくれれば…」と話していたのですが、妊娠9週目のある日、茶色っぽいおりものに気がつきました。すぐに受診したところ、赤ちゃんが2人とも育っていないというのです。双子を流産してしまったという事実がわかったときのショックはとても大きかったです。

流産後、自然排出を待つことになりましたが、2週間たってもなかなか出てこなかったため、日帰りで流産手術を受けました。先生からは「妊娠初期の流産は母体のせいではないから、自分を責めないで」と強く言われたのですが、私はいろいろと検索して、「あれが悪かったの?」「これがよくなかったのかも…」などと、しばらくは自分を責めていました。

ただ、妹にも流産の経験があり、SNSでも流産経験のある人はたくさんいることがわかりました。夫もショックだったと思うのですが、「次はきっと大丈夫だから!」と言って励ましてくれたので、私も「よくあることだからしかたない」と自分に言い聞かせて、立ち直ろうと努力しました。でも、体は順調に回復していっても、心のダメージはふとしたときに感じるような日が続きました。

手術後1週間たって、コーヒーショップの仕事に復帰したのですが、こどもを見ると急に涙が出てしまったり、おなかの大きな妊婦さんを見ると、「この人は順調なのに、私はなぜ?」「本当だったら、私も今ごろおなかが大きくなっていたのに」などと考えてしまったりすることが何度もありました。それでも、夫や身内、仕事仲間が慰めてくれたり気をつかってくれたり、そのやさしさがうれしかったです。

次の妊娠を祈念して、
「女性の願いを叶える神様」をお参りして、お守りをいただきました。

流産から1年後に妊娠。今度こそ!と
期待したけれど、前兆もないまま流産

最初の流産のときは、仕事に没頭したり旅行したり友人と会ったりするなど、予定をたくさん入れて気を紛らわせていたので、1〜2カ月するとだんだん気持ちが落ち着いてきました。そのころ、病院で「そろそろ次の妊活を開始してもいい」と言われたのです。

「今度こそ!」という気持ちで妊活を再開し、子宝や安産にご利益があると聞いた各地の神社へ、「神頼みしかない」という思いで、夫婦で「神頼みツアー」に出かけました。日常生活では、妊娠に備えて健康でいるため、食生活を気づかうようになりました。

以前はあまりとらなかった朝ごはんをきちんと食べるようにしたり、妊娠によいとされる食材を調べて積極的に食べたり。もちろん、葉酸のサプリメントもしっかりと飲んでいました。神頼みだけでなく、自分にできること、妊娠によさそうと聞いたことはなんでもしようという意気込みでした。葉酸は、おなかの赤ちゃんの成長を助け、神経管閉鎖障害の発症リスクを低減させると報告されている、妊娠を計画している女性が積極的にとりたい栄養素だそうです。

妊活中に時間があると、
妊娠しやすい食材や妊娠によいことなどを調べていました。

やがて、流産した翌年に、再び妊娠することができました。仕事もセーブしつつ、体調管理に気をつけて過ごしていました。赤ちゃんも最初は順調に育っていたので、早々に母子健康手帳をもらいました。前回のことがあったので、妊婦健診を受けるのは不安もありましたが、赤ちゃんの成長が確認できるので、楽しみのほうがどんどんふくらんでいきました。

けれどもある日、超音波画像を見た先生から「赤ちゃんの首の後ろが腫れているかも」と言われたのです。先生の言葉に一気に不安が広がりました。前兆と思えることはなかったのですが、翌週に受診すると「赤ちゃんが危ないかもしれないので、翌週も受診を」と言われました。不安に押しつぶされそうになりながら次の週に受診したところ、赤ちゃんの心臓はすでに動いていないことがわかりました。妊娠10週目のことでした。

先生に聞くと、「胎児の体や胎盤を検査すれば、原因がある程度わかる」と言われました。

「流産」と聞いて頭が真っ白になりながらも、私はすぐに夫にメールを送りました。前回とは比べものにならないほどのショックでしたが、病院では泣くまいと必死にこらえました。でも、車の中で夫からの返信を見たら気持ちを抑えきれなくなり、泣きながら運転して帰ったのを覚えています。

振り返ると、おなかが少し痛い日があったのですが、出血もなかったので大丈夫だろうと思っていました。流産後しばらくは、「あのとき、すぐ病院に行っていればよかったの?」などと考えては後悔して自分を責めたり、「2回も流産することってある?」などとあれこれ検索したりする日が続きました。

2回目も流産手術を受け、体の回復は順調でしたが心の傷はかなり深く、何を見ても何を聞いても悲しくなり、涙が出てしまうのです。家にいると泣いてばかりなのでよくないと思って買い物に出るのですが、よその赤ちゃんを見ると胸が苦しくなって…。外出が恐怖になり、宅配で食材を頼んでいた時期もありました。

2回連続の流産は、夫も大きなショックだったようです。流産がわかった日には、過呼吸になるくらい私といっしょに泣いてくれました。でもそのあとは、2人で落ち込んでいてはよくないと、「できるだけ、楽しいことをしたり考えたりしよう!」と言って、明るく接してくれたのには救われました。また、私の両親や妹は、気晴らしにとあちこち連れ出してくれて、義母は「自分を責めないで」と長文の励ましメールをくれました。職場の人たちもいろいろと気づかってくれたので、周囲の人たちのあたたかさがとてもありがたかったです。それでも、涙が出なくなるまでには半年ほどかかりました。

2回目の流産の翌年、妊娠。
ついに出産へ

2回目の流産手術から1カ月すると、ショックから立ち直れていないものの体は回復しているので、妊活再開のOKが出ました。それを機に、私は「こども好きな夫に、わが子を抱かせてあげたい」「祖父母が元気なうちに、ひ孫を見せたい」、そして何よりも自分自身が「わが子を抱きたい!」という思いが日に日に強くなっていきました。次の妊娠には不安も大きかったのですが、時間をあけるとあれこれ検索して落ち込みそうだったので、前を向いて妊活を再開することにしました。

2回目の流産から半年たち、気持ちもようやく立ち直ってきたころ、3回目の妊娠がわかりました。それからは、以前にも増して食事や日常生活、体調管理に気を配って過ごしました。健診は、赤ちゃんを確認できるのがうれしくて、最初のころはワクワクしていましたが、妊娠9、10週目が近づくにつれて途方もなく不安になってきて…。「神頼みツアー」で授かったお守り2つを握りしめ、おなかに当てて「大丈夫! 大丈夫!」と言い聞かせながら診察台に上がっていました。

3回目の妊娠中、おなかの赤ちゃんが無事であるように
お守りを握りしめて、健診を受けていました。

妊娠5カ月に入ったころ、先生から「赤ちゃんは元気に育っていますよ」と言われて、ようやく少し安心することができました。その後は、妊娠中も出産時も大きなトラブルはなく、陣痛8時間ほどで無事に娘を出産することができました。生まれたばかりの娘を見て、夫も私も「無事に生まれてくれてよかった」ということに心から安堵しました。

周囲の人の助けを借りながら、
つらくても前向きに

2回目の流産後に見た桜。
夫と「来年は3人で来ようね」と誓いながら撮りました。

1回目の流産は、妊娠初期にはよくあること、双子は育ちにくいと聞いていたこともあって、「しかたのないこと」と自分を納得させようとしていました。仕事や外出などで気を紛らわせることで、1〜2カ月で立ち直れた気がします。でも、2回目の流産は本当につらかったです。流産が続いた原因や今後の妊娠の可能性など、知りたいことがたくさんあって、流産後はインターネットで検索してばかりの毎日。調べれば調べるほどいろいろな情報や意見、体験談などが出てくるので、どれを信じたらいいのかわからなくなり、かえって不安感や恐怖心がつのってしまいました。

特に「2回流産すると不育症」と聞き、とても心配に。先生に聞くと、「不育症の原因ははっきりしないことが多い。気になるなら検査をすすめるけれど、まだ若いのだから次の妊娠を前向きに考えてみては?」と提案がありました。それを聞いて夫と悩みましたが、「3回目もダメだったら検査しよう」と決めて、2回目の流産後に不育症の検査はせず、次の妊娠に賭けることにしたのです。

私は幸い、3回目の妊娠で出産することができましたが、自分を責めたり原因を検索し続けたりしている間は、気分が沈む一方でした。だから、流産を経験しても「自分を責めないで」「SNSに頼りすぎないで」と伝えたいです。気になることは医師に相談し、できるだけ出かけたり何かに没頭したりして、とにかく気持ちを紛らわせるのが一番だと思います。流産はつらいし、亡くした赤ちゃんのことは忘れられないけれど、私の場合は周囲の人の助けも借りて前を向けるようになってから、よい方向に進んだ気がします。

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